マスクを知る

 ニュースで、マスク装着の有無による、店内、車内、機内などでの口論、けんかを目にします。そこから、個人の認識、文化の相違、国ごとの考え方がさまざまであることがわかります。マスクの習慣がある日本においては、マスク装着の違和感はあまりなく、一日の多くの時間をマスクとともに過ごす我々歯科医師にとって、マスクはユニフォームの一部です。
 世界中で、新型コロナウイルス感染に一番危険な職業と心配された歯科ですが、日本において、これまで歯科診療を原因とする新型コロナウイルスによる院内感染の報告がないことは、一つの要因としてマスク装着をはじめとする院内感染対策をしっかり行っているからであると解釈しています。
 新型コロナウイルス感染者の咳、くしゃみなど口腔から放出される飛沫には、大量のウイルスを含むため、周囲にいる人にとってマスクは感染予防として重要なアイテムと考えます。では、本当に役立っているのでしょうか?
 そこで、マスクについての正しい情報を確認し、正しい知識を得ることが大切であると考えます。

 マスクの規格については、国際統一はなされておらず、また各国での規格試験の方法も異なるため比較することが困難です。製品購入においては、特に、その表示の意味を知ることも重要だと思います。

① マスクの定義

 「マスクとは、口と鼻を覆う形状で、咳やくしゃみの飛沫の飛散を防ぐために使用される、または、ほこりや飛沫等の粒子が体内に侵入することを抑制する衛生用品である。」(※1)と定義されています。※1 新型インフルエンザ専門家会議:新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方
平成20年9月22日

② マスクの種類

1)素材と機能

 素材には、ガーゼと不織布があります。またコロナ禍において、衣料メーカー、スポーツメーカーから下着やスポーツ着素材のものも多く販売されるようになりました。
 ただし、機能表示の無いものは効果の判断がつかないため、密を避けるなどの配慮も併せて考える必要があります。その他マスクの機能表示の無いマウスカバーも登場しています。

2)形状

 平型、プリーツ型、立体型、カップ型などがあります。

3)用途

 医療用、産業用、家庭用に分類されます。
 日本での基準ですが、産業用マスクは労働安全衛生法などにより詳細な規定が定められています(※2)。しかし、医療用と家庭用を区別する明確な基準が示されていません。
 少なくとも医療用としての具備条件は医療従事者から患者(逆も含め)への病原体の伝播が生じないことが求められます。※2 防じんマスクの規格、昭和63年3月30日、労働省告示第19号

③ マスク着用の基本原則

 マスクを着用する際に重要なことは、目的を果たせる性能を持ったものを使用することと、マスクを顔にしっかりと密着させて空気の漏れを無くすことです。

1)密着性

 プリーツ型マスクでは、鼻に当たる金属部分を鼻の形に合わせて装着し、マスク越しに鼻を押さえながらプリーツ部を引き伸ばして顎下までしっかり覆い、頬部とマスクが触れる部分を密着するように手で押さえることで密着度はかなり高くなります。つまり隙間を作らないことを意識しながら装着するということです。

2)性能

 マスクが顔に密着している前提で病原体の伝播を防ぐためには、病原体がマスク表面を通過しないことが機能として求められます。
 粒子の大きさはスギ花粉が約30㎛、動物の体細胞が約10㎛、会話やくしゃみでの飛沫が5㎛以上、飛沫核が5㎛未満、PM2.5が2.5㎛、細菌約1㎛、ウイルス0.02~0.3㎛です。
 歯科診療において注意すべきは診療中の切削等による飛沫です。ウイルスが0.3㎛であっても飛沫中に含まれていることから5㎛の粒子をカットできれば概ね感染は防げることが予想されます。マスクの隙間とウイルスの大きさ

④ 静電気で吸着

 不織布マスクは、繊維を織らずに3次元構造に重ね、絡み合わせています。そして繊維の隙間に微粒子を捕集するのではなく、繊維が静電気で微粒子を吸着させます。

参考資料

医療用マスク(サージカルマスク)

 米国では米国試験材料協会(ASTM)が医療用マスクの素材条件(ASTM F2100-11)を定めています。また米国食品医薬品局(FDA)ではサージカルマスクの基準をBFE95%以上としています。
 N95同様、日本には医療用マスクの性能規格基準はありません。しかし、ASTM F2100-11は歯科診療の飛沫で生じる湿性生体物質がマスク表面を浸透または通過することを評価しているわけではありません。

医療用マスクの素材条件(ASTM F2100-11)

<以下の粒子をどれくらいろ過(捕集)できたのかを表しています>
BFE(Bacterial Filtration Efficiency)とは「バクテリア(細菌)ろ過効率」:約3㎛の細菌を含む粒⼦:(試験粒⼦:⻩⾊ブドウ球菌の懸濁液(約3㎛))
PFE(Particle Filtration Efficiency)とは「微粒⼦ろ過効率」:約0.1㎛(マイクロメートル)サイズの粒⼦:(試験粒⼦はポリスチレン粒⼦(約0.1㎛))小林隆太郎先生(日本歯科大学附属病院口腔外科教授)

略歴

1959年東京都生まれ。1984年日本歯科大学歯学部卒業。1989年日本歯科大学大学院歯学研究科博士課程修了。1991年日本歯科大学歯学部口腔外科学教室第2講座講師。2001年日本歯科大学歯学部附属病院顎変形症診療センター長。2003年日本歯科大学歯学部附属病院口腔外科助教授。2009年日本歯科大学附属病院医療管理室室長併任。2010年日本歯科大学口腔外科教授。2018年学校法人日本歯科大学理事。現職、日本歯科大学附属病院口腔外科教授、日本歯科大学附属病院医療管理室室長

【その他】
2012年厚生労働大臣表彰。2013年日本歯科医師会保険適用検討委員会委員長。2014年日本歯科医学会歯科医療協議会座長。2015年日本歯科医学会常任理事。2018年日本生活習慣病予防協会参事。2019年日本歯科医学会総務理事、日本歯科医学会連合専務理事。2020年日本歯科医学会連合新型コロナウイルス感染症対策チーム長

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                           つかもと歯科小児歯科医院 塚本浩樹 

佐賀 小児歯科  マスクについて 

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